本日はストリングスアレンジの基本をマスターするために、参考音源(Strings音源での打ち込み)を使って具体的にその手法を解説してみたいと思います。

以前のブログ【初心者のためのストリングスアレンジの基本の基本】にも書いた通り、ストリングスの重奏の形態は”カルテット(Quartet)”という4パートの編成が基本です。

ストリングスアレンジは曲調や楽器編成などによって、様々な演奏方法がありますが、ポップスにおけるストリングスアレンジでは

  • 第1バイオリンがボーカルメロを邪魔しないような裏メロディーを奏でる
  • 第2バイオリンは第1バイオリンのオクターブ下を演奏する
  • ヴィオラはバイオリンのメロディーをハモるように演奏する
  • チェロはルートを支える

というシンプルな手法を身につけることが、初心者の方にとっては理解しやすく簡単だと思います。

多少の音楽理論を学んでいれば、第1と第2バイオリン、チェロに関しては難なく実践できるはずです。

しかし、”ヴィオラに関しては少し難しく、手を焼いてしまう”ようです。

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≪ヴィオラ≫アレンジのポイント

ヴィオラのトラックは”バイオリンのメロディーをハモる”という部分ですが、注意すべき点としては

ただ単に3度や5度でハモルだけでは、スケール上に無い音が混じってしまい、音が濁ってしまう

ということです。

参考音源を用意してみましたので、ヴィオラが濁ってしまっている音源と綺麗にハモれている音源を聴き比べてみて下さい。

ヴィオラが濁っている音源例

これはヴィオラを、第2バイオリンのオクターブ下の3度上に単に音符を平行移動して作ったものです。音が濁っていて気持ちが悪い箇所がいくつかあることがわかりますよね?

音符にシャープ記号やナチュラル記号がついてしまっている箇所は、スケール上にない音となってしまっています。その他にもコードとマッチしない気持ちの悪い音がいくつかあります。

この部分はしっかり音を聞いて、濁って聴こえる音を半音(もしくは全音)上下にずらして、綺麗にハモる音を探さなければいけません。

    スケールの特性上、音符を3度や5度平行移動させた時に濁ってしまう音を修正するときは、最初に修正した音の音符が

  • 半音(もしくは全音)低かった場合
         ⇓
    他に濁った音符の全てが、半音(もしくは全音)低くなる
  • 半音(もしくは全音)高かった場合
         ⇓
    他に濁った音符の全てが、半音(もしくは全音)高くなる

つまり、

ひとつひとつの濁った音を、半音上げたり下げたりして、正解を探す必要はありません。

『上げるなら他も上げる。下げるなら他も下げる。』だけで修正できるので、これを知るだけでも幾分楽に修正できると思います。

ヴィオラが濁りを修正した音源例

こちらは上記の説明をもとに、濁った音の音符を修正したものです。

全体的にスケール上よりも半音低い音符がいくつかあったため、まずは濁った音を探し出し、その音を半音上げる修正作業をしました。

ヴィオラの音が綺麗にバイオリンのメロをハモっていて綺麗なアンサンブルになったことがわかりますよね?

この様な作業を繰り返して行くうちに、だんだんと耳が慣れてきてコツを掴んでくるので、苦手なヴィオラのパートも必ず克服できるようになっていきます。

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まとめ

  • ストリングスアレンジをこれからやってみたい
  • 音の積み方がうまくいかず悩んでいる

という方は、まずこの基本のアレンジを試してみて下さい。次第に音符の動きや各パートの役割が理解できるようになっていきます。

今日ご紹介したアレンジ法は、あくまでも1つの手法なので、もちろん全てではありません。
ヴィオラが大きく動きメロを奏でることもありますし、チェロがルート以外を演奏することもよくあります。
世の中には様々な斬新な方法でストリングスアレンジをしている素晴らしい楽曲がたくさんありますので、その手法を研究し吸収することをお勧めします。