ここ数年、韓国のアーティストが日本の音楽シーンを席巻しているのはご存じの通りですが、ダンスミュージックなどを歌うと、本場アメリカのミュージシャンと引けをとらない実力の持ち主が多いですよね。歯切れの良いカツゼツで、リズム感のある歌を海外のアーティストは歌います。

このように韓国やアメリカのアーティストに歌がとても上手い方が多い理由のひとつとして考えられるのが母国語の子音との関係性です。

今日は歌と舌の筋肉、子音との関係性について、

良い歌(発声)のためには舌の使い方が重要
子音を多用する言語を母国語とする人達は、普段の会話の中で、自然と舌の筋肉が鍛えられ、それが歌のためにもプラスになっている

という仮説を立てて話を進めてみたいと思います。

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英語圏や韓国の人は、舌で「U」の字を簡単に作る事が出来る。

まず皆さんに試していただきたいボイストレーニングでの発声法の1つとして、
以下のような口の開け方、舌の位置、使い方が出来るでしょうか?

舌の先は下の歯の裏に触れた状態で、舌全体はスプーンのように軽く「U」の字になるようにする。(扇を逆さにした位の緩やかなカーブ)
発声は下の形をスプーンのようにUの字に

※「U」をあまり意識し過ぎると、舌根に力が入り逆に喉(中咽頭部分)がふさがってしまい、良い発声にはなりません。

このように、発声においては舌の形が「U」の字なるのが基本形になりますが、これを作る事は、日本語を母国語とする私達にとっては容易ではないでしょう。

しかし

舌の筋肉が発達していうアメリカや韓国の人達は、この発声に必要な「U」の字を自然に作る事が出来る

のです。

日本語は母音主体、英語や韓国語は子音と母音が独立している

日本語をしゃべる時には子音を強調しなくても言葉が通じるため、あまり舌の筋肉を使いませんが、英語や韓国語を発音するには子音をキチンと発音しないといけないため、舌の使い方が非常に重要になります。

どうしてか?

  • 日本語 ⇒ 全てが母音で終わる ⇒ 口も舌もそれほど使わずに楽にしゃべる事ができる。
  • 英語や韓国語 ⇒ 発音の子音が母音から独立している言葉が多い ⇒ 発音するには唇・舌・口内の部品をよりハッキリと動かす必要がある。

日本語・・・おはよう
英語 ・・・Good Morning

このように英語の発音は子音が母音から独立している点が、日本語の発音と大きく異なります。

日本語は口をそれほど開けずに、子音を強調しなくても発音できますが、英語は子音をキチンと発音しなければしゃべる事が出来ません。(アクセントとも関係しますが)

また

  • 英語は≪子音が24種類≫もあり、日本語には無い子音で終わる単語が沢山あります。
  • 韓国語は≪母音が21種類、子音が19種類≫と多い上、日本語には無い子音の発音もあり、英語と同様に子音で終わる単語も多い。

そのため、英語や韓国語は唇や舌をキチンと動かさないと発音する事が難しいと言えます。

子音が多い言語というのは、舌先をよく使うので、常に舌の根本が下がっている状態をキープ出来ます。
つまり、喉が良く開いているので響きも出しやすく、声帯周辺への負担も少ない、と言う事になります。

日本人の場合、言語的に母音を多用しますので、中咽頭部分が狭まっている方が多く、ボイストレーニングで喉を開く作業が必要になるのです。

日本人はカツゼツが悪い人が多い

ボーカルレコーディングをしていて良く感じる事ですが、日本人はカツゼツが悪い方が非常に多い気がします。

言葉の頭にくる子音をしっかりと発音が出来ないため、何という言葉を言っているのか聴きとりづらいのです。

上に書いたように、日本語は母音で終わる言葉(子音を強調しなくても伝わる)のため、歌を歌っていても母音を上手く表現すれば、ある程度良い歌になるわけです。

ただ、子音をキチンと発音できていないと、ダラっとした間延びした歌になってしまいますよね。

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良いボーカリストは舌の筋肉の使い方が上手い

良いボーカリストは舌の筋肉の使い方も良いので、子音もキチンと発音でき、喉も良く開き、響きのあるいい歌を歌えるのだと思います。

舌の筋肉は直接喉の筋肉と連動します。

つまり

舌の筋肉は発声にも非常に重要な役割を担うのです。
良い発声を習得するには舌の筋肉を鍛える事が不可欠になります。

アメリカ人や韓国人に歌が上手なアーティストが多い理由のひとつが、この舌の筋肉の使い方に関係しているのだと思います。

ボイストレーニングならワンズウィル 向井成一郎/TAMA/中山 雅生