先日のブログ【転調のための関係調と特徴音 〜その1〜】で関係調と特徴音についてふれましたが、今回はそれぞれの関係調の特徴音について具体的な音名を例えに書きたく思います。
前回は、原調とその関係調の構成音の中で、原調になくて関係調の中にある音は、原調からみてその調を特徴づける働きがあるため特徴音と呼ぶと言う説明をしました。
下の説明のように関係調の特徴音となる音にはそれぞれルールがあります。
原調が長調のとき、平行調の特徴音が導音になる。
例えばC調(ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド)の平行調であるAm調(ラ シ ド レ ミ ファ ♯ソ ラ)には、C調にはない「♯ソ」の音があります。
この「♯ソ」がC調の平行調(Am調)の特徴音となります。
この音はAm調の導音です。
つまり原調が長調のとき、平行調の特徴音は導音(安定感のある音を導く音)になります。
※導音とは主音のサブトニックの音(半音下)を指します。この音は主音に戻りたくなる性質をもっています。
原調が長調のとき、属調の特徴音は属調の導音となる。
C調の属調であるG調にはC調にない「♯ファ」の音があります。
この「♯ファ」の音がC調の属調(G調)の特徴音になります。
原調が長調のとき、属調の特徴音は属調の導音となります。
というように他のケースでも長調の関係調の特徴音は、下属調(下属音)と同主調を除けばすべて関係調の導音となります。
※1.C調の下属調であるF調は「♭シ」が特徴音ですが、この音は導音ではなく下属調の下属音となります。
※2.原調が長調のとき、同主調の特徴音は同主調の3度音になります。
原調が短調の場合
基本的には、ある調から別の調に変化する(転調)際には、原調が短調の場合でも関係調の特徴音が非常に重要な役割を持ちます。
ただ、原調が短調の場合の関係調には決定的な特徴音がない場合もあります。
例えばAm調(ラ シ ド レ ミ ファ ♯ソ ラ)の平行調であるC調の「ソ」の音がC調の特徴音になりますが、この音は原調(Am調)の自然短音階にも含まれるため、決定的な音とはいえません。
※関係調の特徴音が原調の旋律的短音階や自然短音階に含まれていると、調を印象づけると言う意味ではあまり効力をもちません。
また、Am調の同主調(A調)や属調平行調(G調)などには特徴音(原調にはない音)が2音ある場合もあり、それら2つの音があってはじめて関係調を特徴づける働きをする場合もあります。
かなりややこしい話になってしまいましたが 、調を特徴づける特徴音の性質をうまく使用することではじめて楽曲をスムーズに転調させることができるのです。
難しいのですが、なんとなくでも頭に入れておいて頂ければと思います。