今回の音のいいアルバムはイギリスの女性シンガー・ソングライター、Corinne Bailey Rae(コリーヌ・ベイリー・レイ)が2010年にリリースしたセカンドアルバム【The Sea】です。
私がコリーヌ・ベイリー・レイを初めて耳にしたのは、2006年当時FMから流れる彼女の声を聞いた時。「なんて素晴らしい歌声の持主なんだろう」というのが第一印象です。
早速デビューアルバムを購入すると、歌はもちろん、楽曲、アレンジ、サウンド作りの全てがクールで完成度が高く、それ以来コリーヌ・ベイリー・レイの歌と楽曲に魅了されています。
米国の実力派といわれる女性シンガーのように、声量や広い音域を持ち合わせているでもなく、テクニックをひけらかすような歌い方をするでもないコリーヌ。
しかしその柔らかく軽やかで、時にけだるく時にエモーショナルな彼女の歌には、リスナーにスっーと入り込んでいく唯一無二の表現力があります。
Corinne Bailey Rae(コリーヌ・ベイリー・レイ)
≪BIOGRAPHY≫
1979年2月26日 英リーズ生まれ、シンガー・ソングライター。ジャズ・クラブでの活動を経て2004年に英EMIと契約。2006年、26歳の時にデビューアルバム【Corinne Bailey Rae】を発表。エリカ・バドゥやノラ・ジョーンズなどを想起させるソウルフルでオーガニックな作風が話題となり、世界規模の大ヒット/ロングセラーとなる。セカンドアルバム【Sea】も再び大ヒットを記録し、両作でこれまでに全世界500万枚以上の売り上げを記録している。
≪グラミー賞実績≫
【第49回2007グラミー賞】主要三部門(最優秀新人賞、シングル「プット・ユア・レコーズ・オン」が最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞)ノミネート。
【第50回2008グラミー賞】シングル「ライク・ア・スター」が最優秀楽曲賞にノミネート。
【THE SEA】
このアルバム制作中の2008年3月、サックス奏者である最愛の夫Jason Rae(ジェイソン・レイ)が鎮痛薬とアルコールの服用によるオーバードーズで事故死という悲劇に見舞われながらも、1年以上のブランクをおいて仕上げられた本作。
コリーヌ本人とSteve BrownとSteve Chrisanthouという2人の共同プロデュースのもと、リーズとマンチェスターで主に録音されたということです。
サウンド全体はハイファイというより、イギリスらしいとても太い音で、どちらかというとイナタイ系のサウンドです。かといってこもっているということではありません。
アルバム全体を通してドラムやベースの音がとてもカッコいいんですね。録り音が素晴らしいのか?ミックスが素晴らしいのか?どちらにせよコンプやアナログ機材の使い方が上手いんでしょう。ミュージシャンの演奏も。
このような音を作ると普通は、潰れて引っ込んでしまったり、変にパシパシいってペラペラ(平面的)なサウンドになったりするんですが、そんなことないんですね。
とても膨よかでファットなサウンドで、しっかりバウンドしてます。
ミックス・マスタリングエンジニアは大御所
エンジニアクレジットを見ればそれも納得できますね。
マスタリング
マスタリングはAir MasteringのRay Staff(レイ・スタッフ)。1970年代から伝説のトライデントスタジオで活躍し、デヴィッド・ボウイ「Aladdin Sane」「Ziggy Stardust」やエルトン・ジョン「Madman Across the Water」を始め、レッドツェッペリン、ローリングストーンズ、ミューズ、ザ・クラッシュなどを手掛ける大御所マスタリングエンジニア。
ミックス
ミックスはグラミー賞を何度も受賞している敏腕エンジニアTom Elmhirst(トム・エルムハースト)。
前作であるデビューアルバム【Corinne Bailey Rae】に比べ、生楽器中心のどちらかというとシンプルなアレンジになったこの【The Sea】。
派手な楽曲も少ないですが、アルバム全体を通しての統一感があり、コリーヌ・ベイリー・レイのメロディーメイカーとしてのセンスが光っています。
アルバム試聴
全曲を試聴する ⇒ Corinne Bailey Rae【THE SEA】
Corinne Bailey Rae デビューアルバム
圧倒的なセールスを記録した1st アルバム。楽曲・サウンドともに素晴らしい名盤です。是非、お聴きになって下さい。
全曲を試聴する ⇒ Corinne Bailey Rae【Corinne Bailey Rae】