今回の音がいいCDは、ジャズ・ヴァイオリニストの第一人者Stéphane Grappelli(ステファン・グラッベリ) が1975年にドイツのMPSレーベルより発表した【Shades of Django】です。
私は仕事始めの午前中に、窓から入る日差しを感じながらこのアルバムを聞くのがお気に入りです。
これから春を迎える季節にぴったりのアルバムです。
Stéphane Grappelli(ステファン・グラッベリ)【Shades of Django】
Diz Disley(Guitar), Ike Isaacs(Guitar), Isla Eckinger(Bass), Stephane Grappelli(Piano (Electric)), Stephane Grappelli(Violin), Hans Georg Brunner-Schwer(Engineer), Mike Hennessey(Producer), Kathy Frohlicher(Artwork), Lutz Rauschnick(Photography), Mike Hennessey(Liner Notes), Willi Fruth(Assistant Engineer)
ステファン・グラッベリのヴァイオリンは明るく軽快で、心躍らせれるそのスウィング感がたまりません。テクニックは当然超絶なのですが、奏でるフレーズがメロディアスでホント歌っているようです。アドリブもすべてがメロディアス。そこが素晴らしいです。
ヴァイオリン、2本のアコースティックギター、ウッドベースというドラムレスのシンプルな構成でつづられるこのアルバムは、聞いていて心豊かにそして温かい気持ちにしてくれます。
私はこのアルバムのアップの曲が好みですが、全員のヒューマンがグルーヴィーな演奏が最高です。
1908年生まれのグラッベリさんですから、75年発売のこのアルバムの録音が行われたのは大体67歳ぐらいだと推測できますが、そのお歳でのこのリズム感やスウィングぶりは半端じゃありません。
その後も晩年まで素晴らしい演奏を残していますから、ステファンおじいさんは本当にヴァイオリンを弾くために生まれてきたんだろうなーと感じてしまいます。
録音はドイツのMPSレーベルの社長であり名プロデューサー、レコーディングエンジニアのハンス・ゲオルグ・ブルナー=シュアーが行っています。
Jazz界では知る人ぞ知るトップのエンジニアの一人です。自宅にオスカー・ピーターソンを招き、自らのためにライブ演奏を行い、レコーディングをしたことで知られる人です。
CDの音質は、シンプルな楽器構成ということもあって音の定位も良く、音像も広くとても伸びやかです。どこまでも広がる感じです。
でも欲をいうとアナログ盤も聞いてみたいです。
というのもCD盤製作にあたってのマスタリングによるものなのか、ほんの少~しだけ音が細く感じるところも私はあるんですね。細いというか、私の好みからするとトータルEQでの高音部の調整をもう少しナチュラルにした方が良く聞こえるのではないかという程度なのですが。
予想するに元音のアナログマスターは温かみのある最高の音質だと思います。
といっても決してこのCDのHighがきついわけではなく、マスタリングも悪くはありません。
むしろコンプで音圧をかけすぎていないので、サウンドはバウンドし、制限なく伸びている印象です。
私は1曲目の「 Lover Come Back To Me」をリファレンス曲として良く使います。
アルバム試聴
全曲を試聴する ⇒ Stéphane Grappelli【Shades of Django】
※アルバムタイトルが「Violinspiration」となっていますが、内容は「Shades of Django」です。