以前【まっすぐ歌うボーカリストが多い理由 ~音楽業界の悪い影響~】でも述べましたが、昨今の世にリリースされる音楽CDの影響からか、しゃくり(節回し)をあまりせずにまっすぐ歌うアーティストが増えているという記事を書きました。

スポンサーリンク

歌は楽器ではありません。節回しがない歌は不自然です。

鍵盤は”ポーン”と指で弾いたら、立ち上がりの音から語尾までまっすぐな音がでますよね。それと同じように人間が≪入りも語尾もまっすぐに声を出す≫のはかなり難しいと思います。

普通に歌えば、ナチュラルな節が入るものなのです。

ここで勘違いをしていただきたくないのは、≪節回しを入れるというのは、演歌のように大きくコブシを入れてる≫と言っている訳ではありません。演歌の場合は節がタメを伴って深く大きく入ります。当然≪濃い歌≫になりますよね。

そのようなイメージから≪節回しを入れる=濃い=古臭い≫と感じている方もいらっしゃると思います。

でもそんなことはございません。節回し(しゃくり)にはいろんなタイプがあります。

  • 大きく入れたり
  • 小さく入れたり
  • 早くしゃくったり
  • 遅くしゃくったり
  • まっすぐ歌っているようでも頭にちょっとだけ入れたり

… etc 、ボーカリストによってさまざまなテクニックがあります。

スポンサーリンク

節回しはシンガーの個性にもなるし、歌のニュアンスにもなります。

みなさん、洋楽のボーカリストはクールでカッコ良く聞こえるので、そんなに節回しを入れていないのでは?と思う方も多いと思いますが、良~く聴いてみて下さい。

言葉の頭や、語尾などにほんとうにさまざまタイプの節が入っています。

それでもそんなに濃く聞こえないのは言語による聞こえ方の違いがあるからかもしれません。英語などは子音が強調されるので、母音が強調される日本語とは明らかに違って聞こえます。

ソウル系のシンガーはもちろんロックボーカリストだって、ポップスもJazzもちろん節はたくさんを入れてます。

マイケル・ジャクソンなんかが分かりやすいかもしれませんね。彼独特の節回しがあるからこそマイケルらしい歌に聞こえるのだと思います。

節回しはボーカリストそれぞれのもので、それはボーカリストの個性にもなるのです。また節を入れることによって、歌に表情が入り、それはそのまま歌のニュアンスになります。

ポップミュージックが誕生してから半世紀以上経ちますが、まっすぐに機械のような音質で、音程もピッタリ合った歌声が世に出だしたのはここ10年来だけです。

テクノロジーの発達で、歌を修正できるようになったのは良い部分もたくさんありますが、それによって歌のニュアンスが消えたり、歌に個性やヒューマンさがなくなってしまうのであれば、これは本来の姿ではありません。