ボイストレーニングの中級者や上級者でも、レッスンで学んだ発声法をレコーディングで試すと、自分のイメージ通りに(思うように)歌えていない事に気がつきます。

そのひとつが、歌う時の微妙な力の入れ具合です。中級者にもなると発声法自体は身に付いてきているのですが・・・

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ニュアンスをつけたい場所などはボーカリストは弱く歌いたいもの

例えば、悲しい曲を歌う時などはニュアンスをつけるために、小さい声で弱く歌いますよね。

でもそれは弱く歌いすぎている場合が多いのです。つまり声が前にしっかり出ていない状態で、マイクでキチンと拾ってくれず、歌に説得力がなくなってしまうんですね。

今度は少し歌の音量を上げようとすると、変に力が入ってしまい、声が大きくなっているだけで、ニュアンスが消えてしまったりします。

その微妙な力の入れ具合、弱く小さく歌うんだけどしっかり声を前に出す。これは実は難しかったりします。

サビなどで高音部を綺麗に響かせてロングトーンで歌う時など

ボイストレーニングで身に付けた発声を生かそうと、力まずに声を出す事を心掛けると、芯のある押し出しが強い声になっていない事が多いものです。

響きはあるが、のっぺらとした抑揚のない(ダイナミックさがない)声とでもいうのでしょうか?

力まずに声を出す事はもちろん正しい事なのですが、サビなのに存在感のある声にならないのです。

そこでもう少し強い声を出そうとすると、今度は変に力んでしまって喉を閉めてしまい、響きのある声でなくなってしまう。

このように歌う時は

悲しい曲、やさしい歌、明るい歌、激しい感情の歌であろうが、まずしっかり声を前に出すことが重要
  • 小さい声を出すんだけど、しっかり声を前に出す。
  • 変に力まずに、存在感のある大きい強い声を出す。
  • これらの力の入れ具合は、とてもコントロールが難しい。

それには実際にきちんとした音質の録音機器でレコーディングしてみて、じっくり聴き直す事を繰り返さないと身に付かない部分なのかも知れません。

喉や舌、お腹の微妙な力の入れ具合をコントロールして、何度も自分の歌を録音して試す事で、だんだんと一番しっくりする声の出し方、イメージが分かってきます。

正しい発声を自分のものにする

このように余計な力が入って上手く歌えないケースの多くは、喉や口、舌、顎などに不必要な力を入れてしまっている証拠で、自然な発声を妨げています。

ボイストレーニングでは、余計な力を抜くべく指導を受けるのですが、余計な力は抜こうとして簡単に抜けるものではありません。

余計な力が入るのは、発声上、必要な何かが十分に出来ていない、やはり自分のものになっていないのが原因で、それを解決しない限り、力を抜く=歌えないということになってしまいます。

余計な力を抜くための近道は、やはり、正しい呼吸法や、正しい発声マスターしていくことだと思います。

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自分なりのイメージ・感覚を身につける

歌いたいイメージがあり、歌う時に身体のどこにどのくらいの力をかけると、イメージ通りの響きの声が作れるか?を理解できた時には、相当な表現力が備わった事になります。

私が携わってきたアーティスト達も、最初のうち(新人の頃)は皆、レコーディングでぎこちない部分もあるのものでした。

しかし1つのアルバムをレコーディングし終わった頃には、Aメロで優しく歌ってほしい場所や、大サビで力強く歌ってほしい場所などのメリハリがつくようになり、見違える程技術力が上がっていました。

歌を録音しては聞いての繰り返しによって、身体のどこを使い、どう声を出せば、どういう歌になるのか?自分なりのイメージが掴めるようになっていったんだと思います。

そういう意味でも、レコーディングは歌上達のためにとても必要なバイブルかも知れません。

ワンズウィル 中山 雅生