こちらのワンズウィルBlog『ボーカル請負人』では【音程を良くする方法】という[音程の取り方]について書いたものが、皆さんにとても読まれている記事です。
やはり『音程が悪いのが気になる』というのは誰しもが抱くものですよね。カラオケ採点なんかでも音程をしっかり歌わないと点数が上がらないと言いますし。
そこで今日はどうして音程が悪くなってしまうのか? 業界標準の音程修正ソフト【Auto-Tune 7】の波形画面を見ながら解説してみたいと思います。
頭の音が低くなるなる事が多い
ということを【音程を良くする方法】の記事の中で述べました。
歌をレコーディングしていると良く分かるのですが、フレーズ頭の音程に注意がいっていない事で、頭の音程が低くなってしまう方が非常に多いんですね。
音程が悪くなってしまうというのは、[音の頭の音程]が上がりきらず低くなってしまうことに原因があるケースがほとんどです。
頭の音程が低くなった場合の『Auto-Tune 7』波形
ではその実例を音程修正ソフト『Auto-Tune 7』の画面で見てみたいと思います。
- 赤の線 ⇒ ボーカリストが歌ったそのままの音程の波形
- 黒の線 ⇒ 音程を修正した波形
- 波形の下の文字は歌詞(汚くてすみません)
これはあるアーティストの歌(『されるものはない』という部分の歌詞)を、Auto-Tune 7に取り込んで音程を修正した画面です。
その中の『さ』『れ』『る』『も』『ない』の波形(赤の線)に注意して下さい。(出来れば画像をClickして拡大してご覧下さい。)
これらの言葉の波形は、頭の部分が基準線(正しい音程)に対して低く入っているのが分かると思います。
(◯印で囲んであるところです。これは[音の頭の音程]が低くなっている事を意味します。)
この様に
- 音程が悪くなる原因の多くは
- 音(声)の立ち上がり(頭)部分が上がりきらず、低くなることによるものです。必然的にそれにつられて語尾の音程も合わなくなっていきます。
しかもフレーズ(『されるものはない』)の最初の音である「さ」の音程が低くなってしまっているため、後に続く一連のフレーズのほとんどの音が低くなってしまっているのが分かると思います。
結果として1小節2小節と続くフレーズ単位で音程がずれてきてしまいます。
どうして頭の音程が悪くなるのか?
いろんな原因は考えられますが、
- 言葉の子音を意識した発声がきちんと出来ていない ⇒ 言葉の立ち上がりが遅くなってしまい、その結果、頭の音程が低くなってしまう。
- 発声の基本のように口をしっかりした形で開けていない ⇒ 暗いトーンの声になったり、音程が下がり気味になる。
- 節をつけてしゃくって入ったが ⇒ その後 ⇒ 音程が上がりきらない
ことがあげられます。
ではどうすれば音程が良くなるのか?
ボイストレーニング(発声)の基本からすると、舌の使い方や理論に基づいた喉や口の開け方、音程を合わせる技術、言い換えれば「声帯のコントロール」を細かく行うテクニックなど、正しい知識を身に付けてトレーニングを続けることが必要になります。
しかしこれらはボイトレで発声を学んでいる方からといって、すぐに実行出来るものでもありません。ましてやカラオケを音程を良く歌いたい方などにとっては、そんな専門的に学ぶのはちょっと面倒だし難しい…ですよね。
そこで、音程を少しでも良くしたい方への簡単なアドバイスとしては、やや乱暴な言い方にもなりますが、
- カツゼツ良く歌う
- 口をいつもより大きく開ける
- しゃくり(節)の上げ具合に注意する
これだけでも子音がしっかりした発声になることで声(音)の立ち上がりも良くなり、声のトーンも明るくなって、音程が下がり気味になることは少なくなるでしょう。
3.について補足すると、頭の音はしゃくり(節)で入ることが多いのですが、初心者によく見られる状況として、しゃくりのスピードや上がり具合が足りない事によって、音程が低くなってしまうケースが多いんですね。
[節を入れるフレーズ頭の音程]には特に気をつけると良いと思います。
もしDTMなどをやっていて自分の歌を録音出来る環境にあるのであれば、[音の頭(入り)]を自分はどのように歌っているか? 分析してみて下さい。音程が悪くなっている原因がつかめると思います。