声を重ねて和音にしてゆくいわゆる「ハモリ」は簡単な様ですが、実はなかなか奥が深いものです。
その秘密について知りたいと言う方が多くいますね。
さて、今回は日々レッスンを行う中で、当校の生徒さんからハモリに関する質問を受けましたので、それについて書いてみたいと思います。
質問は以下です。
グループでバンドを組んでいる方、また初心者の方にとって素朴な疑問として意外に気になる事かもしれません。
答えはズバリ「イエス」です。が、、「例外もある」と、言う感じでしょうか。
ハモリは大きく分けて2パターンある
ハーモニーを奏でる上では、雰囲気や声色をメインボーカルにピッタリ寄り添う形にするのがセオリーであり、揃えたほうがキレイにも聴こえます。
しかし、作品を創作するという観点で考えると、違った見方もできます。
例えば、キレイなハーモニーの枠からはみ出してもっと斬新な事をしても、それが上手くハマればそれはそれでOKです。音楽を創作する上で制約はないのですから。
メロディに対するハーモニー、いわゆるハモリには、大きく分けて2パターンあると考えます。
2)個性派パターン:コーラスにも個性を出してゆく
正統派パターンのコーラス
まず(1)正統派パターンですが、これはいわゆるキレイなハーモニー。
洋楽であれば、Boyz Ⅱ Men、TAKE6や往年のカリフォルニア系サウンドのグループなど。
邦楽であれば山下達郎さん、ゴスペラーズの様なサウンド。
メインメロディーに対して、しっかり寄り添ってゆくタイプです。
具体的には、
3声以上の厚みのあるハーモニーで、音の強弱、歌節やビブラートの処理などもしっかり合わせてゆく
と言ったパターンです。
しっかり寄り添い合わせる事を音楽的には「アーティキュレーションを揃える」といいます。
※「アーティキュレーション」に関してはまた別の機械に解説したいと思います。
個性派パターンのコーラス
さて、それに対して(2)の個性派パターンは、
コーラスをもう1本のボーカルの様に考える手法
です。
コーラスを行う人のキャラクターを活かす事で、音楽に幅を持たせると言うような考え方です。
男女でハーモニーを作る場合などは、どうしても声色が違ってしまいますが、それを逆手にとり有効に使ってしまう。
例えば、邦楽であれば、サザンオールスターズの桑田佳祐さんと奥様の原由子さん、90年代の小室哲哉さんなども、そういう手法を使われてる様に思います。
また、2人で歌うグループなどは、どちらがコーラスと言うより、ダブルボーカルという考え方で両者が主役な場合もあります。
この場合は、両者はそれぞれの個性やキャラクターを全面に出しても、息が合っていれば完結します。
少々歌い方がずれても、音楽的に悪くなければそれで良し
とする考え方です。
数多くいるデュオグループなどはコレに当てはまることが多いでしょう。
自分たちの向かう方向でハモリを考える
どの手法もハーモニーという部分では同じですが、見せ方が多少違うということです。
しかし、両パターン共に良い部分を持っていますので、
自分たちが向かうべき方向がどちらなのか?それを考えた上でどうするか決める事が大切
だと思います。
自分たちは(1)の方向だ。と決め込むことも良いと思いますが、曲ごとに(1)(2)の考え方を変えてみる様な事でも良いと思います。
例えば、大きな方向性は(1)であっても、アルバムの中の1曲だけを(2)の考え方で作る、と言うのでも面白いかもしれません。
ハモリは、楽器がなくても友達同士なので二人居ればすぐに始められる非常に手軽なものでもあります。
あまり堅苦しく考えずに、チャレンジする気持ちでどんどん試してみて下さい。
ハーモニーを作る時には、上に書いた2つのパターンで方向性を見極め、それぞれのパート同士が「心をひとつに」することが何より大切なことです。