先日、当ブログ≪ボーカル請負人≫のTwitterで、以下のようなつぶやきをしたところ、なかなかの反響がありました。

違法ダウンロードが今年の6月より罰則対象になったことで、一部のメジャーレーベルがコピー制限の原則廃止を決めたということです。

これによって楽曲をダウンロード購入した消費者は携帯やスマホを買い替えても楽曲が引き継げることになります。

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音楽配信はダウンロードからストリーミングへ

ただ、世界の音楽市場では定額聴き放題≪クラウド型音楽配信サービス≫が主流となっています。

これは楽曲などは自分のPCや端末にダウンロードせずに、クラウドに保管した楽曲をインターネット経由でストリーミング方式で配信するサービスです。

つまり消費者は自分の聞きたい楽曲を、PCや端末ではなく、クラウドという巨大なサーバーに保存しているのと同じことになり、好きな時に好きなだけ音楽を楽しめることになります。

この一定料金で聴き放題のクラウド型サービスは2008年ごろから欧米を中心に広まりましたが、大手の英スポッティファイの場合、月5~10ドル(約400~800円)を払えばスマホなどで1800万曲が聴き放題。世界で約1000万人が利用しているといいます。

そんな中、ついこないだの7月3日に、ソニーがクラウド型の音楽配信サービス「Music Unlimited」を開始しました。月額1,480円を支払えば、1,000万曲を超える楽曲がPCやスマートフォンで楽しめるようになります。ちなみにKDDIやNTTドコモも最近同様のサービスを始めております。

「やはりそうなったか」というのが率直な私の感想でしたが、これには理由があると言われています。

それはソニーなどが出資する「レコチョク」に代表される音楽配信会社の低迷です。スマートフォンの急速な普及に伴い、ダウンロードした端末だけで聴ければいいという「着うた」などの従来型携帯電話向けの配信サービスの売上高が急速に落ち込み、レコード会社の経営を揺さぶる事態となっています。

11年度の日本の音楽配信市場は10年度比で16%減の719億円と2年連続で前年割れでした。一方、クラウド型の音楽配信サービスがけん引する世界の市場は10%前後の成長が続いています。

今後はCDというメディアはもとより、ダウンロードして音楽を購入するということは減って行き、≪クラウド型音楽配信サービス≫を利用しストリーミングで音楽を楽しむというがスタイルが主流になっていくだろうと感じています。

日本では配信する楽曲のラインナップは世界に比べるとまだまだですが、スマホはもちろん、タブレット端末も急速に普及しつつある昨今では自然な流れの様な気がします。

私自身はオーディオが好きで、≪高音質で音楽を楽しみたい派≫なので、今後もCDは購入していきますが、気軽に音楽を楽しむという意味では定額聴き放題≪クラウド型音楽配信サービス≫は興味があります。

ただ音楽制作者の立場からいうと、ちょっと微妙だったりします。

クラウド型のサービスから得られる楽曲使用料は、良く聞かれた曲でも数十万円、大ヒットでも数百万円ということらしいんですね。

従来では原盤権(制作費を負担し、完成した音源(いわゆる原盤、マスター音源)に対して発生する権利のこと)を持っていれば、大ヒットしたら数億円の使用料が入っていた事を考えると、原盤権を所有するレコード会社や事務所の収益はかなり低くなってしまいます。

となると、

ただでさえ数年前の半分以下に下がってしまったCD制作費が、さらに抑制され、アーティストやミュージシャン、アレンジャーやプロデューサーに支払われていたギャランティーも下がってしまいます。商業スタジオを使うこともより減って行くでしょう。

当然、

原盤印税が下がれば作詞家や作曲家、プロデューサーに入る印税も相対的に下がります。

ただ知名度の低いアーティストや楽曲が見直され、購入につながる可能性もあるという意見もあります。

音楽に携わる人々にとって≪クラウド型音楽配信サービス≫はどういう影響を与えるのか?見守っていきたいと思います。

ワンズウィル 中山 雅生