前回の【音程が悪くなる理由① 〜波形画面で解説〜】では、音程が悪くなってしまう原因のほとんどは、[音の頭の音程]が上がりきらず低くなってしまう(音程がフラットしてしまう)ことにあるということを述べました。

今回は逆に音程がシャープして(高くなって)しまうケースの一例を、前回同様、業界標準の音程修正ソフト【Auto-Tune 7】の波形画面を見ながら解説したいと思います。

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高い音から低い音へ下がる時に、落ちきらずにシャープしてしまう

メロディーの高低差がある部分で良くあるケースなのですが、高い音から低い音へ下がる時に、音が落ちきらずにシャープして(高くなって)しまうことが多々あります。

その例を、音程修正ソフト【Auto-Tune 7】の画面で見てみましょう。

Auto-Tune 7 ピッチ修正画面
Clickで拡大

  • 赤の線 ⇒ ボーカリストが歌ったそのままの音程の波形
  • 黒の線 ⇒ 音程を修正した波形

丸く囲んである箇所に注目してください。(出来れば画像をClickして拡大してご覧下さい。)

ボーカリストが歌った元の音程(赤の線)が、基準線(正しい音程)に対して高いのが分かると思います。高い音から低い音へ移動する際に、シャープしてしまっています。

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どうして音程がシャープしてしまうのか?

原因はいろいろ考えられますが、経験上言えるのは

次の音への意識が薄くなっているということです。

この波形をご覧になれば分かる通り、高い音については音程はピッタリ合っていますが、次に来る低い音の音程が高くなっています。

これは高音部の音程が低くなってしまうことを嫌い、高い音のピッチを合わせようということばかりに意識がいってしまい、次に来る低い音への注意が払われていないことからおこる場合が多いように感じます。

このように高低差があるフレーズ部分については、高い音から低い音へ下がる際の音程にも注意してみてください。下がっていくメロディーの動きをしっかりとイメージするだけで、改善されるはずです。

ボーカルディレクションをしていても、「高い音ばかりでなく、その後の低い音にも神経を注いで歌ってみてください。」とアドバイスするだけで、すぐに音程は良くなったりするんですね。

またメロディーの動き(音符)がしっかり頭に入っていないことから起きるケースもあります。

メロディー譜を事前に確認し、音符の動きをイメージして歌う】 でも書きましたが、自分ではメロディーをきちんと理解しているつもりでいても、実はうやむやにインプットされており、間違った音を歌ってしまう。

したがって本来の音より高く歌ってしまう方も私はたくさん見てきました。

ベンド

最後に高低差があるフレーズをうまく歌うための日頃の音程トレーニング法のひとつをご紹介します。

【ベンド】という発声方法があります。ボイストレーニングを習っている方ならご存知でしょう。

【ベンド】とは
高低差のあるフレーズの移動の際に、音が途切れないように発声することです。「節」や「しゃくり」「ビブラート」のように、音程を変える部分で喉を鳴らさないで歌いきります。

このテクニックを身に付けることで、

高低差のあるメロディーのピッチ感が良くなります

皆さんも是非日常のボイストレーニングに取り入れてみてください。

ワンズウィル 中山 雅生