ワンズウィルミュージックスクールの中山です。「歌が上達したい、ボーカリストを目指したい」という方々に向けて、私が思う歌が素晴らしいボーカリストを紹介したいと思います。

私はこれまで、新人から大物アーティストまで、たくさんのボーカリストの歌をレコーディング現場でディレクションしてきました。そこで感じるのは、やはり良いボーカリストは

  • 「良い歌とは何か?」をよく知っている
  • たくさんの「良い歌や音楽」を聞いてきている

ということです。

皆さんも是非、良いボーカリストをたくさん聞いて、上達への糧にして頂ければと思います。

今回紹介するアーティストは、世の中では美メロ・ファン必見のロック・バンドと称されるMelee(メイレイ)。リードボーカルのクリス・クロン(Chris Cron)の歌はとにかく圧巻です。

メロディアスで美しい楽曲を、圧倒的な声量で歌い上げ、歌の存在感が抜群です。中低域の声の太さや高域での声の響きは超一級品。あのクウィーンのブライアン・メイも「ボーカルのクリスの声は驚くべきものだ」と絶賛しているとか。

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Melee(メイレイ)

Melee | メイレイ

米カリフォルニア出身の4人組。インディ・レーベルからの最初のデビューを果たし、コールドプレイ、キーン的な洗練されたロック・サウンドを展開。
その後、地道なライヴ活動を経て、メジャー・レーベルWARNER BROS. RECORDSと契約。2007/4/3にデビュー・アルバム『DEVILS & ANGELS』が全米リリースされた。日本でもこの輸入盤が大きな話題を呼び、1stシングルの「Built To Last(永遠のハーモニー)」が大ヒットを記録した。 ※一番右がボーカルのクリス・クロン

【DEVILS & ANGELS】

2007年Warnerよりリリースされたメジャーデビューアルバム(メイレイとしては2枚目のアルバム)。ロック色が強いギターサウンドというより、ボーカルのクリス・クロンが奏でるピアノが多くフィーチャーされ、全編にわたりスタンダードで良質なメロディーで構成されています。ゆえにポップスとしても聞きやすいアルバムと言えるでしょう。

メジャー1stシングル「Built To Last」

ピアノのノスタルジックなフレーズで始まるこの楽曲を初めて聞いたのは、友人のレコーディングエンジニアから紹介されてのがきっかけでした。発売された2007年当時、よくJ-Waveで流れていたのを覚えています。

アレンジがとにかくキャッチーで心地よく、Aメロ・サビのみで構成された無駄のないメロディーは、分かりやすく良質です。美メロ・ファンが魅了されるのも当然ですね。

ボーカルのクリス・クロンの歌声は、Aメロの出だしからもう圧倒的で、サビの伸びやかな歌い方まで凄いの一言。【メロディー・サウンド・ボーカル】、どれをとってもまさに名曲ですね。

ロックを歌った時の抜きんでた歌声

2曲目「Rhythm Of Rain」~5曲目の「Drive Away」までは、ミドルからアップテンポのロックナンバーが続きます。いわゆるアメリカ西海岸の80年代アメリカン・ロックといった感じの楽曲です。

1音1音をしっかり丁寧に歌い、カツゼツの良さ、声の太さや存在感、リズムの捉え方、サビの伸びやかなボーカルが素晴らしいです。

サビなんかは結構張って歌っているんですが、変な力みもなく心地いいんですね。ボーカルのクリス・クロンはいったいどんな『凄い声帯の持ち主?』って思えてきます。日本人にはなかなか出せない声だなって感じます。

クウィーンのブライアン・メイが驚くものうなずけますね。

バラードでの抑揚、表情の付け方

6曲目「Can’t Hold On」、9曲目「She’s Gonna Find Me Here」のバラードは、聞きどころ満載。メロディーもとても美しいです。

やさしく入る歌い出しは、息の混ぜ方も絶妙で、弱く歌っているのにしっかりとボーカルが前に聞こえてきます。また9曲目のAメロなどは、やさしく歌っているのに声の響きが抜群です。

そしてサビに向かってサウンドが盛り上がるとともに、クリスのボーカルも圧倒的な声量で訴えかけてきます。音圧が上がるのに変な力みやトゲトゲしさもなく、柔らかさえ感じます。これも素晴らしい発声を身につけていなかったらできない技でしょう。ボーカリストとして、スケールの大きさを感じます。

また特質すべきは、歌の抑揚のつけ方です。

  • Aメロからサビまで1コーラスを歌う中で、どこを引いてどこに盛り上がりをもっていくのか?
  • そして1番~3番まで1曲を通して、どこに歌の盛り上がりをもっていくのか?

これらの表現力が並みではありません。

今のCDは1曲を通して平坦な歌が多いのも事実で、レコーディングエンジニアがボーカルのヴォリュームを大幅に書いて(音量の上げ下げをして)、歌の抑揚をつけることも多いんですね。でも、このようなクリス・クロンの歌を聴いていると、やはりボーカリストが出し引きを表現することが大事なんだなって、改めて感じます。

おまけですが、アルバム13曲目『You Make My Dreams』のホールアンドオーツのカバー曲。歌はダリル・ホールにそっくりです。影響を受けてるんですね。よく聴いてみると、サビなどで張った時のクリスの歌声は、ダリル・ホールに似ているかもしれませんね。

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アルバム試聴

全曲を試聴する ⇒ Melee 【Devils & Angels】