先日ある事務所から育成&制作を頼まれているアーティストのライブを見に行きました。

10代のアーティストで、まだライブ経験も少ないということもあってかなり緊張していたようで、その内容は正直褒められるものではありませんでした。

デモ音源制作やプリプロで何度かそのアーティストの歌をレコーディングしたことがあるのですが、素晴らしい歌を歌います。

高音を若干しめて歌ってしまう癖はあるんですが、それを補って余りあるほどの声質、声量、表現力を持っています。

では何故ライブで駄目だったのでしょうか?

答えはズバリ、恐る恐る歌っていたからだと感じました。

自分が苦手とする高音部をしめて歌ってしまって、『声がひっくりかえらないか?』『音程がずれないか?』『喉に負担をかけてライブ後半に声が綺麗に出るか心配?』など、いろいろ不安だったのでしょう。

私はそのように見て取りました。

その緊張感が観客にも伝わり、見ている方も変な緊張感を持ってしまい、当然会場は盛り上がりません。その会場の雰囲気をまたアーティストも感じ取り、余計に緊張感が増すという負の連鎖です。

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レコーディングやライブは誰しも緊張する。ビックアーティストも同じ。

ライブなど、歌う前は誰しも緊張するし上手く歌えるか不安になるものです。初心者はもちろんそれはビックアーティストも同じです。

だからといって苦手な箇所や音程の取りづらい箇所を、恐る恐る歌ってしまうと、余計に駄目な歌になってしまいます。

それはボーカルレコーディングでも同じだと感じます。
レコーディングはその環境からも、心理的な閉塞感が生まれやすいものなんですね。
外部から閉ざされた防音のボーカルブースに1人入って歌うことになる訳ですから。

ボーカルブースに入りヘッドホンをして録音するという環境が、心理的な閉塞感を生む】でも述べたように、ブースという密室に入りただでさえ不安感がある中で、ましてやヘッドホンをしながら歌うとなると、どうしても≪気持ち的に開放されない状態≫になってしまいがちです。

加えて、『ちゃんと歌えるかどうか?不安』などボーカリストがナーバスな状態に陥っていると、その自信のないメンタリティーがダイレクトに歌に影響してしまいます。

すると声を前に出すということが出来なくなり、結果としてこじんまりした歌になってしまうんですね。

また『上手く歌わなければならない』という自分へのプレッシャーも良い方向に作用する場合もありますが、悪影響を及ぼすことも多々あります。

思い入れが強い曲ほど上手く歌えなくなってしまった一流アーティストを、私はレコーディング現場で何度もてきました。

このように

歌というものは
ボーカリストの精神状態によって大きく左右されます。どんな状況や環境でも、本番になったら自信を持って声を前に出すことが大切です。歌うことだけに集中することが何より重要になってきます。

そして不安にならないためには、日々歌のトレーニングを積み重ねることです。そしてその鍛錬が自信につながります。

ワンズウィル 中山 雅生