DAWの普及で作曲家の方々も自宅でご自身でミックスダウン(TD)をしている方が多いと思います。
そんな方々のために、私が音楽制作をする上で日々感じる、ちょっとしたことでクオリティーが上がるポイントを少しずつ紹介していきたいと思います。
第一回目は「ボリュームの強弱の書き込み」についてをご紹介したく思います。
ボリュームの細かな強弱の書き込みで楽曲全体のクオリティーが上がる
レコーディングエンジニアの方々からは当たり前だと突っ込まれそうなポイントですが、意外に作曲家・アレンジャーはこの部分をおろそかにしがちな人が多い気がしてます。
とても簡単な事ですが、例えば
ボーカルのボリュームの強弱をきちんと書き込むだけでも、想像以上に楽曲のクオリティーを上げることが出来る
と言っても過言ではありません。
どんなに良いテイクのボーカルをエディットしたとしても、その他の楽器との兼ね合いボリュームの強弱が整っていなければやはり歌に存在感が無く感じてしまいます。
またギターなどのアルペジオのフレーズの場合は、Aメロはしっかり聞こえていたとしても、サビは他の楽器も増えてくるので、埋もれがちになりますよね。
そうなるとアレンジ上もう1本ギターを重ねたり、他の楽器を増やしたりしたくなるものです。
しかし隙間隙間でアルペジオのギターのボリュームを上げてあげれば、フレーズはしっかり聞こえてきます。そうすることで、他の余計な楽器を足す必要がなくなるのです。
ボリュームを書く ⇒ 音数が減らせる ⇒ 音の定位が良くなる
個々の楽器のボリュームを書くことで、余計な音を足さずにすみ、結果的にアレンジ全体の音数も少なくすることが出来ます。
そうなると楽器個々の定位も良くなりしっかり聞こえてくるようになります。
またボーカルも音数が少ないオケによって、ハッキリと大きな音像となって聞こえてくるようになりますので存在感が増してくるのです。
では実際に強弱はどのように書けば良いのかと疑問に思う方もいらっしゃると思いまますので、下の画像をご覧ください。
いたって簡単です。上の図のように、小さい波形を持ち上げ大きすぎる波形を下げます。これはあくまでも曲中での音のバランスを聴きながら行います。
音を再生しながら直したい部分だけ修正するという感じで良いと思います。
これだけの作業なのですが、ただ気をつけなければならないこともあります。
例えば
ボーカルなどの場合は、どのポイントを上げてどのポイントを下げるのか?正しく強弱を書くには経験が必要
になってきます。
ボリュームを書くことによって、節まわしを強調したり、言葉のアタックを強調したり、逆に弱めたり、歌のニュアンスまでも変えてしまうことも出来るんですね。
間違ったポイントをいじってしまわないようにするには、たくさんの歌を聞いて理解していくことが大切だと思います。
ボリュームの強弱の設定に、コンプを使用しただけでは不十分
コンプレッサーは確かに音量の小さい箇所を持ち上げ、大きい部分を抑えたりと、音量差を縮めますがどちらかというとSN比を稼ぐためのものです。
細かなボリュームの強弱を設定するものではありませんので、やはり上げ下げを箇所箇所できっちり書くように心掛けたいものです。
ボリュームの書きは単純な作業なのですが、奥が深いところもあります。今までこの部分をあまり意識していなかった方は是非試してみて下さい。
これだけで確実に楽曲全体のクオリティーが上がります!