ボーカリストが最終的に目指すものは、自分のオリジナリティーを作り上げることです。

リスナーが聞いただけで誰の歌かすぐに分かる、自分だけ歌。

しかし『自分のスタイルを探し個性を出す』、これが一番難しいことですよね。

そのためにはボイストレーニングで基礎である声の出し方(発声)を身に付けることももちろん大切ですが、それだけでは足りないでしょう。

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憧れのシンガーの歌を聴き(分析し)、とことん真似てみる。

自分らしさを出すのであれば、まずは自分が「あんな風に歌いたい」と心からリスペクトしているシンガーの歌を細部までキッチリ聴いて研究してみることです。そしてそのシンガーと同じように歌えるまでしっかり練習してみることが大切だと思います。

私の周りにいるビックアーティストに話を聴くと、

若い時は皆、真似ることから入ったそうです。そこで学んだスタイルを、自分の歌に取り入れていったのです。

憧れのボーカリストが歌う一音一音を分析するぐらいの気持ちで注意深く聴くことが大切です。そして完全に覚えてしまうぐらい聴くことを繰り返すことです。
  • 子音の入り方・発音
  • 母音の伸ばし方
  • 節回し
  • 声の響かせ方(柔らかい・鋭い・きつく締め気味・体のどこで響かせているか?…etc)
  • 息づかい
  • ブレス(息継ぎの)の仕方
  • 音量の強弱の付け方
  • 声にどのくらいの息(空気)を含ませて歌っているか?
  • 鼻への声のかけ方
  • ビブラート
  • ベント・しゃくり具合
  • リズム・歌の間の取り方
  • ミドルボイス・ファルセット

とにかくシンガーの出す全ての音に全神経を集中してみてください。いつもなら聴き逃してしまうところも、注意深く意識して聴くことで、シンガーの歌い方で気づくところがたくさん出てくると思います。

そしてこの作業を何度も何度も繰り返し、そのシンガーの歌う全てを完全に覚えてしまうぐらいまで聴いてみてください。

しかし、最初のうちはなかなか上手く聴きとることは出来ないと思います。

私は長年ボーカルディレクターをやっているので、アーティストの一音一音を逃さず聴くことには慣れているのですが、普通の方はそういう聴き方をしていませんもんね。

しかしこのトレーニングを続けていくことで、「今はこういう声の出し方をしたな」とか、「子音の使い方がハギレいいな」とか、「節回しを歌入りは小さく、語尾はゆっくり大きく入れていて、最後は早いビブラートを弱めに少しだけ入れている」など、理解出来るようになってくると思います。

そして可能であれば歌を聴くときは、パソコンなどのあまり音質の良くないスピーカーなどではなく、ある程度の音質の良いオーディオ装置で聴くことをお勧めします。ヘッドホンで聴くのも良いかも知れません。

音が直接耳に届くのでハッキリと聴きることが出来ます。

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シンガーと一緒に同じように歌ってみる。そしてそれを録音して確認する

シンガーの歌い方を覚えたら、今度は曲を流しながら一緒に歌ってみましょう。とにかく自分の歌い癖は消し去り、全く同じ様に歌ってみてください。

そしてそれを録音してみてください。Pro ToolsやCubaseなど、DAWソフトで自分の歌を正確に録音出来るが理想ですが、もしない場合はICレコーダーなどでも結構です。

iPhone等スマートフォンにも同様のアプリがあり自分の声を録音できますので、それらを利用するのもいいでしょう。

自分の歌がどうなっているか?確認することがとても重要で、大変勉強になると思います。

どこが同じように歌えていて、どこが違うのか?、しっかり聴き比べてみてください。当然そう簡単には同じ様に上手くは歌えないと思います。

しかし、自分がこれだったら良いだろうと実感できるまで、これらのトレーニングを根気よく繰り返してみてください。

あんな風に歌ってみたいという理想と、自分の現状の歌とのギャップがあったとしても、それを冷静な耳で聴き比べ、自分の発する全ての歌(声)を把握し、パフォーマンス出来るまでスキルを磨くことが、オリジナリティーを作り上げるでの糧になります。

そして出来ればジャンルやタイプの違うシンガーの歌も同様に、細かく分析して聴き、同じように真似をしてみてください。一人より二人、三人と数が多い方が、それだけいろんな歌のスタイルを学ぶことが出来ます。

根気のいるトレーニングですが、必ず身となり骨となります。

ボイストレーニングなどの基礎練習と一緒で、そう簡単には歌の表現方法や技術は身に付くものではないですが、トレーニングは裏切りません。スポーツ選手が走り込みをしたり、筋力トレーニングをするのと同じです。

すぐには結果はでないですが、継続することによってワンランク上の素晴らしいプレーが自然に出来るようになるのと一緒です。

そしていろんなスタイルの歌を習得出来た後は、そのスタイルを真似ず、無心に自分の思うままに歌ってみてください。自分の歌に、学んできた歌い方がプラスされ、オリジナリティー溢れる歌に変わっているはずです。