最近One’s WILLでは一般の方からの音源制作依頼が多く、ボーカルレコーディングの経験があまりない方や、初めての方の歌のディレクションをする機会が多いんですね。

皆さん最初は緊張気味でボーカルブースに入って行くのですが、何回か歌ううちに体も心もほぐれて、伸び伸びと歌われるようになっていかれます。

その中にはボイストレーニングの経験がある方も多いのですが、一様に皆さんおっしゃるのは、「発声練習の時のように上手く声が出せない。」「発声を意識して歌うと、ニュアンスを思うように表現できない。」ということです。

自分の思うような歌になっていないのでしょう。

  • 確かに、とても力の抜けたスムーズな声になっているんだけど、サビなどで押しが足りず、歌に抑揚がでない。
  • 逆に少し力んでしまって、喉を絞めてしまい、せっかくの響きのある声でなくなってしまう。
  • 伸びやかな声を意識し過ぎてか(母音を意識)、子音がハッキリせず、立ち上がりの遅い歌になってしまい、リズム感が出ない。また立ち上がりが遅いせいで、音程も悪くなる。

などなど。

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≪ボイトレの発声練習≫と≪本番の歌≫では勝手が違う

発声練習では力まず声を響かせることが出来るのに、何故か実際に歌うと喉を閉めてしまう。

特に高い音など、自分の苦手な箇所を上手く歌おうとすると、変にそれを意識してしまい、体の余計な所に力が入ってしまう。結果、スムーズな腹式呼吸にならず喉も閉めてしまうのでしょう。

ボイストレーニングで発声が身に付いているかといって、実際に曲を上手く歌えるかは別の問題です。

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発声法を実際の歌に生かす術を身につける

発声法を実際の歌に生かすためには自分の歌を録音するなどして、自分はどう歌っているのか?現状把握することがとても大切です。

定期的にレコーディングを繰り返す事で

  • どのポイントで歌を響かせるのか?
  • 声の張り(力の入れ)具合
  • ビブラートの入れ方
  • カツゼツの善し悪し、巻き舌癖
  • タイミング・歌の間

など発声を実際の歌にどう生かしていくのか?理解できるようになります。

そして

録音した歌を繰り返し聞くことで
耳が鍛えられ、自分の歌を理解できるようになり、≪歌を分析できる能力≫が身について行きます。

自分の歌を自分の耳で確認することで、『今の自分に何が足りないのか?』『どこが悪くてどこを伸ばせばいいのか?』客観的に感じ取れるようになってきます。

私たちが今まで制作してきたメジャーレコード会社からデビューした新人アーティストは皆、この手法(ディレクションを受けながらレコーディングを繰り返す)によって格段に歌が良くなって行きました。

彼等は、デビュー前にボイストレーニングをやっていたにも関わらず、ほんの数カ月のレコーディング期間に、そのような作業を繰り返すことによって、歌+α のアーティストとしての表現力も増していったのです。

これらは数々のCDを制作してきた私達の経験上言えることです。

ワンズウィル 中山 雅生