本日は歌をレコーディングする際の、ちょっと変わったプラグインの使い方についてお話しします。

ボーカル録音時のハードウェア機器(マイクプリやコンプレッサーなど)の設定の基本については以前に【マイクプリの入出力レベル設定】でご説明した通りです。

その他、ボーカリストが歌いやすように、プラグインをボーカル録音トラックにインサートし、モニター上でエフェクトがかかった状態でレコーディングする、というちょっとイレギュラーな設定をすることもあります。

通常はそのような録り方はあまりしませんが、ボーカリストよっては雰囲気を出すために、録音している時にエフェクトされた声を聞きながらレコーディングしたいとおっしゃる方もいらっしゃいます。

録音トラックにプラグインをインサートしても録り音には影響が無いので、設定が過剰になったとしても問題はありません。

例えば

・コンプレッションをガッツリかけて録る方法
・EQでラジオトーンっぽくして録る方法
・Auto-TuneのAutoモードをかけて録る方法

等いろいろあります。

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<コンプ> シンガーが息づかいや、弱いニュアンスも感じたい場合 

この場合、『コンプレッションをガッツリ掛けて録る方法』があてはまります。
ボーカルトラックにコンプをインサートし、あくまでもモニター上で強く掛けます。

具体的には

  • コンプレッションはレシオ12対1くらい
  • スレッショルドを下げ目(常にかかっている状態)
  • アタックタイムは長め
  • リリースは速く

この様な設定にします。

こうすることで音量の小さい声が持ち上がって聴こえるため、ソウル系の曲を歌う時などブレス音や語尾の吐息混じりの声が強調されて、ボーカリストはニュアンスをつけやすくなったりします。

<EQ> ラジオボイス

EQのラジオトーンの設定
EQのラジオトーンの設定 1k辺りを残しその上下を大幅にカットする

上の画像のようにEQを設定しボーカルトラックにインサートすることで、≪ラジオボイス≫のような声になります。

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<Auto-Tune> モニター上のピッチ(音程)良くしたい場合

≪Auto-TuneのAutoモードを掛けて録る方法≫は、アメリカやヨーロッパなどの海外のプロデューサーがやっているのを何度か見たことがあります。

こうすることで

ボーカリストは音程が良い自分の声がモニターできるため、歌いやすいということです。
ピッチを気にする海外のミュージシャンならではの使い方だと思います。

でも私的にはこのAuto-Tuneの使い方はお勧めしません。これではボーカリストの節やニュアンスが消えてしまいます。

音程が良い歌にしたいのであれば、いいボーカルテイクを録るのが基本ですし、【ボーカルエディット】でいい歌をセレクトするのが本質だと思います。

またPerfumeのようなロボ声にしたい場合なども≪Auto-Tone≫をボーカルトラックにをインサートしてレコーディングすることもあります。

以上、今回はボーカルレコーディング時の通常ではないプラグインの設定について書いてみました。

このような処理は、

一般的にはミックスダウン時に後からほどこすものである

ということは頭に入れておいて下さいね。

ワンズウィル 下田 義浩